私のSAAB事始め
「サーブ・オーナーズ・クラブ・オブ・ジャパン」機関誌より





ここに一冊の「カー・グラフィック」がある。1972年2月号。「ロード・インプレッション」にそのクルマはあった。雪の中に佇む控えめな中型車。見るからに厚そうな鉄板で覆われたボディ。宇宙船のような不思議なスタイルと理詰めでユニークな細部の造形。試乗記事を暗記できるほど読みふけり、何時かきっとハンドルを握ると心に誓った。今からちょうど30年前、私とSAAB99との邂逅である。

私が手に入れた99GLEコンビクーペは78年製のいわゆる最終型で、1984cc、Kジェトロのノンターボ。色はチャコールグレイだった。全てのトラブルシューティングが済んで完成度が高いに違いないという勝手な思い込みはあっさり裏切られ、実によく壊れた。最も困ったのは時々ワイパーが止まらなくなることで、周囲の奇異な視線の中、ひたすらワイパーが止まるのを念じる気持ちはだけはもう味わいたくない。それでも安心感に包まれた温もりのある室内や快適なシートとしなやかな乗り心地は未だ忘れ得ぬものだ。99GLEと共に過ごした13年と12万キロは私の長いカーライフ中で掛け替えのないロマンスだった。

当時私が住んでいた静岡県浜松市にはSAABは私の99が1台きりで、信頼できる修理屋も無く、何でも自分で直すしかなかった。西武自動車から部品と一緒に送ってもらった分厚い英文のマニュアルを片手に、暇さえあればつなぎを着てクルマの下に潜っていた。ある時どうしても解らない事があり、思い余ってSAAB本社に拙い英語で手紙を出したら、意外にもすぐに返事と共に貴重な資料や写真が沢山届いて感激した。今も私の宝物である。差出人は広報のOlof Wallenと云ったが、彼は今どうしているだろうか。

横浜三ツ沢にあった西武の部品センターに足繁く通う内に、同じように部品や修理のことで悩んでいる何人かのSAABオーナーに出会うことができた。是非お互いに情報交換をしましょうと意気投合し、10人足らずで発足したのがSOCJのルーツである。発足会と10周年記念ミーティングは静岡県掛川市のリゾート施設「つま恋」で開催した。それから更に10年、全国的に組織を拡大し、活動も活発化されている現メンバーの皆さんの熱意とご努力には頭が下がる思いです。私も何時かまた9−3の最終型?でも買って、あちこちのミーティングに参加したいと思うこの頃です。

                                     ( 2002.10.18 by Gm )