第84回日本音楽コンクールのクラリネット本選会を聴いた。会場はオペラシティ大ホール。5名の出演者と演奏曲は以下の通り。
1、中館壮志/ドビュッシー:小品、ドビュッシー:第1狂詩曲、ライネッケ:序奏とアレグロ・アパッショナート、サラサーテ(バルディルー編):カルメン幻想曲
2、伊藤優美/タワー:幻想曲、タイユフェール:クラリネットソロのためのソナタ、藤家渓子:3つの小品よりⅢ、オスメル:幻想曲
3、小林知世/ラザー・トラッテンベルグ:瞑想、シューマン:3つのロマンス、
横川晴児:壊れた鏡、フランセ:主題と変奏
4、勝山大輔/バッシ:リゴレット幻想曲、ガロワ・モンブラン:協奏的小品、マントヴァーニ:バグ、ローゼンブラット:カルメン幻想曲
5、コハーン・イシュトヴァーン/シューマン:幻想小曲集、ベルク:4つの小品、プーランク:クラリネットソナタ、コハーン:ハンガリー幻想曲第1番
日本音楽コンクール(かつての毎コン)本選を聴くのはOn君が出場した1999年と、小谷口さんが圧倒的勝利を収めた2002年以来のことだったが、この13年の間に随分とレベルが上がったものだ、というのが第一印象。
大昔はモーツァルトの協奏曲が、つい最近までフランセあたりが上手く吹ければ、「ほほう!」という感じだったが、今や超絶技巧満載の現代曲をミス一つ無く吹けなければ本選にも残れない感じだ。
今回の5人も、各人のテクニックの凄さに舌を巻いた。心なしか出演順が進むにつれ完成度が高まるように感じたが、予選の成績とは関係ないとのことだった。
なお、今回の本選はリサイタル形式で、そのプログラミングも審査の対象となった。
素人耳審査員の勝手な寸評と得点(5点満点)。
1、中館:ベームの普通に良い音。ドビュッシーを2曲続けたのはマイナス。小品の付点が3連符に。4曲の内3曲は「10日の会」で吹いた。評価:3.5
2、伊藤:会場の空気を掴んでいる。セゲルケのベームは好きな音。無伴奏の2難曲に挑んだ勇気。幻想曲は1曲にしてスタンダードも聴きたかった。評価:4.5
3、小林:音は良いが緊張感弱い。シューマン退屈。フランセも速いが新鮮味ない。審査員の曲を吹くのはいかがなものかと。禁止ルール化すべし。評価:3.5
4、勝山:音色堅く、伸びない(トスカのせい?)。指とトリルがめちゃ速い。全曲暗譜はすごい。汗かきなのかステージマナーに改善の余地有り。評価:4.0
5、コハーン:既に完成されたプロ。聴衆心理を把握。易しい曲を流石と聴かせる。自作自演奏者は初?。水で苦労してたからヴェルメンを進呈したい。評価:5.0
よってプライベート順位は、1位、コハーン、2位、伊藤、3位、勝山だったが、発表された結果は、1位、コハーン(+聴衆賞)、同、勝山、3位、小林だった。
まあ、見方を変えれば納得できる範囲だが、伊藤さんの今後には期待したい。 |