お客様が育む「自由演奏会」
広げよう音楽の輪!

音楽は競い合うものだろうか?

世の中にはコンクール、コンテストの類は数多くあるけれど、一緒に演奏してこそ音楽は楽しいのではないだろうか?上手な演奏が必ずしも感動的ではない。むしろ、上手い人も下手な人も、若者もお年寄りも、見ず知らずの人が互いに助け合い、補い合って創り出す音楽こそが感動的なのではないのだろうか?

そんな問題意識から始めた昨年の「自由演奏会2002」は、千葉浦安のNKホールに全国から600人の管・打楽器演奏者を集めて感動的なコンサートを創り上げ、大いに盛り上がった。
皆、交通費と(中には宿泊費と)参加料を負担して来るのだが、参加者全員で力を合わせたコンサートを終え、誰もが笑っていた。何よりも嬉しかったのは、2割の参加者が「自由演奏会」をきっかけとして久し振りに楽器を手にしたと答えたことだった。

そして今年。会場を横浜文化体育館に移した「自由演奏会2003」の当日(11月29日)は、あいにく朝から冷たい雨が降る寒空だった。しかし、我々主催者側の心配をよそに続々と楽器を携えた参加者が詰め掛け、次第に体育館の広いフロアを埋め尽くしていった。その数約950人。下は5歳の坊や(打楽器)から69歳のおばあちゃんフルーティストまで、福岡、岡山や山形から駆けつけた人達もいた。

実は昨年の「自由演奏会2002」終了後、予想を上回る事態が起きた。参加者達が地元に帰り、自主的に「自由演奏会」を開催し始めたのだ。先ず神戸で、続いて埼玉で、そして北海道、宮城、福岡で…。ヤマハは楽譜の貸し出しや演奏指導者の派遣でそれらの動きをサポートした。
既に全国14の地域で小規模な地方大会が開かれ、延べ参加者は2千人を越えた。地方大会で「自由演奏会」の楽しさを知り、全国大会である「2003」に遠路参加した人達も多かったのだ。

「自由演奏会」は今後も秋田、静岡、大阪など約20会場で開催が予定されているが、演奏会場で、乳母車に乗せた赤ちゃんをあやしながらクラリネットを吹くお母さんや、お父さんと一緒に誇らしげにホルンを吹く坊やを見るにつけ、音楽は演奏レベルや年齢、性別を超えて一緒に演奏してこそ楽しいという、「自由演奏会」の理念は、確実にお客様の共感を呼び、我々の手を離れてお客様が育んでくださっていることを実感している。

横浜文化体育館で開催された「自由演奏会2003」参加者950人の集合写真

(2003.12.04 by Gm)