ライトナー&クラウス訪問記
ヘルベルトの遺志を継ぐ2人のマイスター



ライトナー(Josef Leitner)さんとクラウス(Wolfgang Kraus)さんは、共に同じノイシュタットにあるヘルベルト・ヴリツァーの中心的な職人さんだったが、1989年にヘルベルトが亡くなった後1993年に独立。2001年にはノイシュタット郊外にある工業団地内に広く新しい工房を建設した。30年以上に亘って、最高のドイツ管製作に携わってきた誇りと自信からだろうか、クラウスさんに撮影の許可を求めると、「どこを撮っても良いよ。大事なものは全部ここに入っているから」と、ご自分の頭を指差して笑った。
窓が大きく取られているので工房内はとても明るい。屋根にはソーラー発電用パネルが取り付けられていた ハンブルクに送られた試作品の評価をクラウスさんに伝えるヘアマン先生
用意してくれた最新機種を心行くまで吹くことが出来た。何れも素晴らしい音質と吹き心地を備えている V−320というニュー・モデル。上管ジョイント部分のオス・メスが逆になったロングバレルだ。タルと上管との段差が下方に移るので、音質が向上するという。これにはa-bメカというオプションの特許機構が付いていた。喉音のaとbで上から2番目のトリル・キイを少し持ち上げるというコロンブスの卵的なアイデア
これはスタンダードなソリストモデルのNr.320。V−320同様キイは鍛造のワイヤーカット。V−320との価格差は230ユーロだが、僕にはこれで充分と思われた 仕上げの美しさは天下一品。キイの形状、タッチ感など文句の付けようがない
明るい工房で4人の若い職人さんが働いていた 職人さんの仕事場。使い込まれてはいるが、床にはごみ一つ落ちていない
こちらがライトナーさん。マイスターの貫禄充分だが、クラウスさん同様とても優しく親切だ ちょうど、マサノリ小林さんが所属するノルトハウゼンのオーケストラが注文したバス・クラリネットを製作中だった
ノイシュタット(アン・デア・アイシュ)は小さな町だが、間違いなくここから最高峰のエーラー式クラリネットが産み出されている

(2009.12.22 by Gm)