シャリュモー(Chalumeau)
管楽器には木管・金管を含め、発音原理はたったの3つしかありません。唇を振動させるもの、リードを振動させるもの、そしてリコーダーやフルートのように空気自体を振動させるものです。

様々な管楽器は3つの発音原理と3つの音程を変える仕組み(音孔、ピストンorロータリー、スライド)の順列組み合わせで出来ていますから、17世紀の人達が当時身近にあったリコーダーを他の発音原理で吹いたらどうなるんだろう?と考えたとして一向に不思議ではありません。誰ともなくリコーダーにシングルリードを付けて吹いてみたら『お、これって結構イイじゃん!』ということになったのでしょう。いつの時代にも人間の好奇心と欲望とが世の中を変革させるのです。

シャリュモーには真鍮製のキイが2つ付いていますが、これは音域を拡げるためものもので、いわゆるレジスターキイではありません。上下のキイともラで、両方押さえるとシが出たそうです。大きさもソプラニーノからバスまで(左図は全長約50mmのテナー・シャリュモー)色々あって、リコーダーのように担当する音域が分かれていましたから広い音域も必要とされなかったんでしょう。

リードは頭部管に直接ヒモで固定しましましが、すでにヒモがずれないように溝が刻んであるところなんかは、エーラー吹きとしては何となく当時の人と心が通じ合うようで感動的ですね。

それから当時はリードを上に向けて吹く奏法が一般的だったそうですが、その習慣は徐々に廃れて行くものの、20世紀に入ってからもそのようにくわえて演奏する奏者がいたという事実はちょっと驚きです。