マイニンゲン州立博物館

http://www.meiningermuseen.de/

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ダブルケースの造りは今とほとんど変わらない。    
ベルは外さないタイプで鍵が掛かるようになっている。
ひも用のマウスピース・キャップが2つ見える。  
ドイツ中部、チューリンゲンの森の中にある人口2万2千人の小さな町マイニンゲン。かつてここには後のベルリンフィル初代常任指揮者でブラームスの礼賛者でもあったハンス・フォン・ビューローが率いる最優秀の宮廷オーケストラがありました。そこで長くクラリネットの首席を務めていたのがリヒャルト・ミュールフェルトだったのです。
ここマイニンゲンでミュールフェルトに出会い、その演奏に深い感銘を受けたブラームスは、1年以上のブランクをものともせず、立て続けにA管用にクラリネット三重奏曲と五重奏曲を、そしてB♭管用に長調と短調の2つのソナタを作曲し彼に捧げました。ブラームスの最高傑作である第4交響曲も、マイニンゲン宮廷オーケストラで初演されましたから、あの第2楽章の叙情的なメロディーは、きっとミュールフェルトのソロを思い描きながら作曲されたに違いありません。
マイニンゲン州立博物館には「文学館」や「演劇館」もあるようですが、ミュールフェルトのクラリネットが所蔵されているのは、マイニンゲン公が住んでいた最も大きな中央の城Castle Elisabethenburg。大都市から遠く何とも行きにくい場所ですが、一度は目の当たりにしてみたいものです。

→(その後の経緯は「ミュールフェルトのクラリネット」をお読み下さい)
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博物館が入る正面の建物が実は四方を囲んでいる
百聞は一見に如かずと言うけれど、マイニンゲン博物館もまさにその通りだった。ホームページに写っていたエリザベーテン・ブルクは実物の4分の1程度で、実際は宮殿と呼ぶに相応しい威厳に満ちた壮大な建造物だ。
この建物の中には音楽学校や本格的なレストランもある。バンベルクのセゲルケ氏が「博物館に行ったら中央の塔の一番上にあるカフェでお茶しなさい。世界で一番美しいカフェだから」と言っていた。半信半疑で行ってみると、その言葉に偽りはなく、バロック調の内装や調度品の豪華絢爛さに圧倒された。ケーキとコーヒーも一級品で、しばし貴族の気分を味わうことができた。
また、マイニンゲンの町も、豊かな自然の中に「古都」の落ち着いた風情を漂わせていてとても気に入った。「地球の歩き方」にも載っていない小さな町なので、日本人に出会うこともない。駅の前はイングリッシュ・ガーデンという広大な公園で、鬱蒼とした木々の狭間にブラームス等著名人の記念像や朽ち果てた墓石などがある。博物館の裏には清らかな小川が静かに流れ、奥にはチューリンゲンの森の深い緑が果てしなく広がっている。
マイニンゲンの人々も親切で、道に迷っていると必ず声を掛けてくれる。旧東独圏なので英語は全く通じないが、身振り手振りで目的地を案内してくれた。それほど生活にゆとりがあるとも思えないのだが、犬を連れて河畔をゆったり散歩する人々を見ていると、改めて本当の豊かさってなんだろう?と考えさせられる。
博物館のてっぺんにあるヘッセンザールという世界一美しいカフェ 博物館裏の清流に架かる優美な橋の先は深い森 


 (2006/10/25 by Gm)

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