Viotto邸でMP選定 2007年5月22日

 

ゾンダースハウゼンで思わぬ時間を食ってしまった我々は、急いでデトモルトの近郊、ラーゲという所に住んでいるヴィオットさんのお宅へ向かう。地図で見るととんでもなく離れているのだが、小林さんは「3時間くらいで行けますよ」と事も無げに言う。さすがアウトバーンの国だが、ハンズフリーの携帯電話と小型カーナビ端末は必需品とのこと。アウトバーンにも制限速度がある区間が沢山あって、監視カメラなども設置されているが、一旦制限が解かれると文字通り無制限にスピードを出せる。小林さんも180Km位で飛ばすのだが、更にそれを追い抜いていくクルマも多い。だから事故は即大惨事となり、この日もポルシェが事故って車線が閉鎖され、皆途中のインターチェンジから国道へ降ろされてしまった。
ヴィオットさんはお金持ちらしい
やっとの思いでヴィオットさんのお宅に着いたのは夕方5時頃。この季節、ヨーロッパは夜中の11時頃まで明るいのでまだ真昼間だ。ヴィオットさん宅は閑静な住宅街の一角にあり、裏庭からは一面緑の草原が望める大邸宅である。「ドレスデンでお会いしましたね」と挨拶すると「だっけ?ごめん、日本人は皆同じに見えるんだよ」だって。
なぜか鳴りの良いG3たち

きっと小林さんが気を利かせて頼んでおいてくれたのだろう、出来立てのG3やN1が10数本あるという。早速半地下室の広い試奏室(実は息子さんの部屋)で選ばせてもらった。
ところがどうしたことだ。G3を1本吹いただけなのに自分が使っているもの(2本持参)より断然良い。
ヴィオットさんと奥様。手に持つのは選定したG3
次もまた次も、全然鳴りや音質の次元が違う。息が素直に入るし響きも大きく拡がる。小一時間の選定の後、最も気に入った1本を“マサノリ価格”で購入することができた。これだけでも遥々日本から来た甲斐があったと言うべきだろう。
ヴィオットさんはこの後、僕たちを地元のギリシャ料理店に招待してくれた。彼を訪ねて来る国内外のクラリネット奏者達とよく来るそうだが、豚ひれ肉の網焼きとチーズポテトが絶品だった。
ヴィオットさん現在数学の先生だが、学生時代の専攻は機械工学で、趣味で吹いていたクラリネットのマウスピースに興味を持ち、色々と改造を加えるようになった。シュツットガルト音大のノルベルト・カイザー教授が評判を聞きつけて注文してくれた。教授は当初全然期待していなかったようだが、出来上がったマウスピースが余りに素晴らしいので、生徒達にも推薦してくれるようになったそうだ。その最初のモデルがK1とのこと。僕が自作のマウスピース・チャートでK1を捜していると「それ、よくできているね。くれないか」だって。ボロボロだったので僕のホームページのURLを伝えたが、うまくダウンロードできたろうか?
せっかくの機会なので、小林さんの助けを借りてヴィオットさんに2つの質問をした。一つは「今ドイツで一番良い音を出していると思うクラ吹きは誰か?」。もう一つは「さっき吹いたG3はなぜ日本のよりずっと良いのか?」である。最初の質問に暫く考えた後、氏の口をついて出た名前は「ノルベルト・カイザー」。是非聴いてみたいと言うと「じゃ、フェストで会った時にブラームスのクラ五のライブ録音のコピーを渡すよ」と約束してくれた。後の質問に対する答えは、、、直接お伝えします。