第3章 エーラーの基礎知識


ここまで読み進んで、ちらっとでもエーラー式クラリネットを始めてみようかなと思われたあなた。あなたは選ばれた人です。ここで更にエーラーに関する知識と理解を深め、あなたのほんの出来心を強固な意志にまで高めて頂くために、エーラー初心者が抱きがちな疑問にお答えします。なお、以下アンサーは、Gmの個人的体験に基づく独断的見解であることをご承知おきください。

<楽器について> 

Q1-1 そもそもドイツ管とかフランス管て何?
A: クラリネットは、1700年頃、ドイツ・ニュルンベルクの楽器職人、ヨハン・クリストフ・デナーと息子のヤコブ・デナーによって考案されました。その後ドイツを中心に、長い年月を掛けて様々な改良が加えられ、進歩・発展してきましたが、伝統的な特徴である、@クロス・フィンガリング、A内径(ボア)形状、B仕掛け(マウスピースやリードなど)、を連綿と受け継ぎ、現在でもドイツやオーストリーで一般的に使用されているクラリネットを「ドイツ管」、或いは「ドイツクラリネット」と呼んでいます。「ドイツ管」という言葉は、ずっと後(1839年)になって「フランス管」(ベーム式クラリネット)が開発されたことにより生まれた対立概念なのです。

ドイツ管の内径は、上管から下管までほとんど円筒で、ベル近くになって急速に開きます(下図B)。
その音色は陰影に富み、温かく内省的で、モーツァルト、ウェーバー、メンデルスゾーン、ブラームスなど独・墺大作曲家の創作意欲をかき立たせました。


一方フランス管は、テオバルト・ベームというドイツはバイエルンの名フルート奏者が考え出した、とても簡単で便利なフィンガリングとキイメカニズムをクラリネットにも応用しようと、19世紀の半ばにフランスの管楽器製作者ビュッフェと、パリ音楽院のクローゼ教授が結託して開発した新種のクラリネットです。因みに、ベームさんはこのベーム式クラリネットの開発には一切関わっていないので、ベーム式と呼ばれるのは心外かも知れません。

この新楽器を開発した背景には、フランス革命後、国内に軍楽隊を沢山編成せよ!とのナポレオンの平民教化政策があったとも伝えられています。軍楽隊でメロディーを受け持つクラリネットを、促成栽培の素人奏者に吹かせるには指使いを易しくする必要があったのです。そこで、ビュッフェさんとクローゼ教授は、ベームさんが考案したリングキイを応用し、面倒なクロス・フィンガリングを排して、右手小指から順番に指を上げていけばハ長調(記譜)の音階が吹けるようにクラリネットを改造したのです。

また、軍楽隊に求められるのは、華やかな音色と遠くまでよく聞こえる音量でした。二人は、下管の内径のテーパー(円錐状の開き)を早めに拡げて、メガホン効果によって、より大きく派手な音が出るように改造しました。ベーム式クラリネットのマウスピースやリードが、ドイツ管のものより一回り大きくなったのも、ひとえに音量増大のためだったと考えられます。

この改造が行われたのは、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトは言うに及ばず、クラリネットのために数々の輝かしい作品群を書き遺したウェーバー(1786−1826)が没して10年以上経ってからのことです。フランス管のルーツをさかのぼれるのは、ベーム式クラリネットが特許を取った1839年まで。指使いも内径も違うので、いわゆる古楽器とは縁もゆかりもありません。

ベーム式クラリネット(フランス管)の内径

下管の中ほどから急速に拡がっていく。
下管の下端に人差し指がすっぽり入る。
このメガホン効果によってより大きな音量と華やかな音色を得ている。だが気を付けないと音が開いて、けたたましく耳障りな音になりがちだが、屋外でマーチを吹くには最適だろう。

近年、なぜかクランポンやヤマハもドイツ管の内径に近いモデルを発売している。

エーラー式クラリネット(ドイツ管)の内径

下管の最終端から約3cmまでほぼストレート。人差し指は狭くて入らない。
ドイツ管特有の深く温かい音色はこの伝統的な内径に負うところが大きい。
ライスターやプリンツのような音が出したいと思うならドイツ管に替えるしかない。

*グラフの縦軸はmm、横軸はcm

ベーム式クラリネットはその後『水は低きに流れる』、或いは『悪貨は良貨を駆逐する』、更には『易きに付くは世の習い』の喩え通り、華やかな音色と簡単な指使い、そして何より単純な構造がもたらした大量生産による低価格故に、世界中で爆発的に繁殖、蔓延しましたが、このフランスで開発されたベーム式からモーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、ウェーバー、ブラームス達がイメージした音色を引き出そうとするのは土台無理な話です。だって彼らはベーム式クラリネットの音を聴いたことないんだもん。

Q1-2 ドイツ管にも2種類あるそうですが…?
A: むむ、おぬしやるな。左様、ドイツ管にはドイツタイプとウィーン(オーストリー)タイプがありまする。
長いドイツ管発達史の中で、最も進化したシステムが、現在、ウィーンを初めとするオーストリーのプロ奏者が使用している「ウィーン・アカデミー式」と、ドイツ全土のプロ奏者が使用している、オスカール・エーラーが開発した「エーラー・メカニズム」を備えた「エーラー式」ですが、両者間にはほとんど本質的な違いがないのと、エーラー式の方が圧倒的にユーザーが多いので、一般的に両者をひっくるめて「エーラー式」、或いは「エーラー・クラリネット」と総称しています。

因みに、両国の子供達が、学校や地域のバンドなどで使っている楽器には、通常エーラー・メカニズムが付いておらず、トリル・キイやリング・キイなどが省かれた、よりシンプルな楽器です。これを便宜的に「ドイツ式」または、ほとんど全てcisメカ付きなので「シンプル式」と呼びますが、@指使い、A内径、B仕掛けが一緒なので、これも立派な「ドイツ管」です(下図分類参照)。

ドイツやオーストリーの学校で主に使われている18キイのドイツ式。下のフルエーラー27キイとの違い分かりますか?



エーラー式の代表的なメーカーが、ベルリンフィルなどで使われているH・ヴリツァー、ウィーン・アカデミー式の代表が、ウィーンフィル周辺のO・ハンマーシュミットです。キイ、仕掛け、内径が少し異なりますが、ドイツとオーストリー国民は些細な違いにもかかわらず、お互いに全く隣国のクラリネットを使おうとしません。

ウィーンの有名奏者には、ウラッハ、ボスコフスキー、プリンツ、シュミードル、オッテンザマー、
ドイツには、ゴイザー、クレッカー、ミヒャエルス、ライスター、S・マイヤー、W・フックスがいます。 

両者の外観上の相違は、
ベルリングがあり、右手中指で押さえる下管の上から2番めのキイがリングならウィーンタイプ、
ベルリングがなく、カバードキイならドイツタイプです。(何事にも例外は付き物ですが、、、)


ですから、もしあなたがエーラー吹きになろう!と決心したら、まずウィーンタイプかドイツタイプかのどちらかを選択しなければなりません。一旦どちらかを選んだら(主に経済的な理由から)元に戻って違う道を行くことは難しいと思った方が良いでしょう。
ホルツ会員もほぼ半々の勢力で、音色的には混じっても全く違和感はありませんが、マウスピースの開きやフェイシングの長さの違いにより吹き心地はかなり異なります。因みにGmは、H・ゴイザーの音でドイツ管に目覚めたのでベルリン方面行きを選択しましたが、未だにウィーン方面に未練を残しています。

More Info
エーラー式とウィーン・アカデミー式

Q1-3 ドイツ・ベームって何のこと?
A: 内径や仕掛けはドイツ管と同じだけれど、指使いはベーム式という折衷的な楽器です。リフォームド・ベームとも呼ばれ、ドイツ管の音は好きだけど、今さらエーラーの指使いで苦労したくないという人に向いています。
ACOのクラセクション
アマチュアのみならずプロにも多くの愛用者がいますが、ドイツとフランスに挟まれたオランダでも根強い人気があって、アムステルダム(ロイヤル)・コンセルトヘボー管弦楽団(ACO)は伝統的にドイツ・ベームを使用しています。
中学の吹奏楽部以来ベーム式の指に慣れているけれど、ドイツ管の音色に魅力を感じるという人にとっては最適の選択かも知れません。
ただ、どっちつかずで中途半端だと言う人もいて、失うものが何も無いアマチュアのホルツ会員は、ドイツ・ベームを持って入会しても何故か多くは程なくエーラー派に改宗してしまいます。
何でも耳元で悪魔が囁くのだとか。お〜コワ!

1-4 初心者向きの安いエーラーはありませんか?
A:
はいはい、とても善い心掛けですね。シュライバー(独)やジュピター(台湾)もありますが、ドイツで最も評判が良い普及品は意外にもYAMAHAです。音程の良さやバラツキの少なさが評価されていて、ホルツ会員にもYCL-457から入門した人が何人もいます。日本(静岡県浜松市付近)で生産しているのに、ドイツ管の需要がほとんど見込めない国内では残念ながら正式発売されていませんが、管楽器専門店に頼めば取り寄せてくれるはずです。価格は恐らく20万前後でしょう。

YCL-457には18キイ、20キイ、22キイの3品番がありますが、最もキイが多いYCL-457-22がベストです。それでも最低音ミ、ファの音程補正キイは省かれています。また、457はコストの関係で右手中指がリングキイ(つまりエーラーシステムが付いていない)です。そこがエーラーシステムになっている方が、下管のサイドに大きく孔を2つ開けられるので低音シ♭の音抜けが良いのですが、どちらも実用上さしたる問題にはならないでしょう。
なお、インターネットで、3万円台の中国製?エーラー式クラリネットが売られていますが、決して手を出してはなりません。私も吹いてみましたが、デタラメなマウスピースが付いていて、管体はプラスチック、キイの造りや調整も最悪の粗悪品でした。

但し、YCL−457には一つだけ注意が必要です。ドイツのブラスバンド用に開発されただけに、A管がないのです。ですから、アマオケや室内楽でA管が欲しくなったらYCL-657(30万)か857(50万)を買わなければなりません。657と857はいわゆるフル・エーラーと呼ばれ、演奏上必要とされるキイは全て揃っています。457とは内径も異なり、最低音の音程補正キイが付くとともに右手中指もカバードキイ(エーラー式)となります。
A管を上級グレードにすると、より使用頻度が高いB♭管もグレード・アップしたくなるのが人情ですが、初めから657や857をダブルで揃えるとなるとかなりの出費を覚悟しなければなりません。う〜ん、実に悩ましい問題ですね。

なお、YCL-458-22という変り種秘密兵器をご存知ですか?この機種は、YAMAHAがオーストリー市場だけのために開発したモデルで457より内径が太く、右手中指リングキイ、ベルリング有り、E♭レバー(のみ)付き、喉音gis-a連動、右サイド上から2番目のトリルキイの位置までウィーン・アカデミー式の伝統に則っています。音色はドイツタイプの457より太く力強い感じで、他人とは一味違ったものを吹いて自慢したいという、いかにも“ホルツな人”(「ホルツハイマー」とも言う)におすすめですが、やはりB♭管のみです。また、458の性能をより引き出したければマウスピースやリードもウィーンタイプにした方がよいでしょう。

各機種の特徴を写真で示すと以下のようになります。



なお675と875はキイの造りと音孔のアンダーカットに違いがあるだけで内径は同一です。
では、くれぐれも
仕様上の注意を良くお読みになってお買い求め下さい。

Q1-5 エーラー式はなくなるの?
A:(グサ)、い、いえ、決してなくなりません!、、、すぐには。
エーラー式は今でもハンドメイドで製作されている(バンベルクのセゲルケ工房)
今やグローバル・スタンダードにまでのし上がったベーム式も、開発当時は伝統的なドイツ管に慣れていたヨーロッパの奏者からは珍奇な楽器と受け取られました。特にドイツ国内では全く相手にされなかったようです。
が、ビュッフェとクローゼ教授によるヨーロッパ各地やアメリカにおける積極的なプロモーション活動が功を奏して徐々に増殖していったのです。
また、部品点数が少なく堅牢なベーム式は大量生産に向いてたので、1本1本手造りのエーラー式に比べ圧倒的な低価格を実現できました。誰だって安くて易しい方が良いに決まっています。かつてはエーラー式を使っていたロシアやハンガリーでも、若い世代を中心にベーム式が主流になってきているようですし、ドイツやオーストリーでもベーム式が徐々に学校市場を侵食し始めているようです。

ですが、プロの世界では事情がかなり異なっているようです。ドイツでは、ほとんどのプロオケのオーディションは「ドイツシステムに限る」という条件が付されていて、ザールブリュッケン放送響首席のレクム先生のお話では、現在ドイツのプロオケでベーム式を吹いているのは、シュツットガルトの一人(きっとD.Aさん)だけ。「今後ドイツでエーラー式が減るなんてことは絶対ない!」とのことでした。

カッセル歌劇場首席のHrさんはこんな話をしてくれました。「僕らのオーディションでは、良い音楽家を集めるためにクラのシステムに制限は設けていない。でも、ベーム式でとても上手い人が受けに来ても、弦楽器や他の管の団員が“音色”を理由に落としちゃうんだよ」。

また、ハンブルク北ドイツ放送響(NDR)のヘアマン先生は、もう少し現実的な理由を教えてくださいました。「もし首席奏者にベーム式の人を採用したら、音色や音程が違うので、他の団員が皆ベーム式に替えなければならない。そんなこと出来っこないよ」。

なお、韓国や中国ではドイツ管に根強い人気があると聞きました。ひょっとしてドイツ管の将来を担うのは、一音の中にすら意味や情念を吹き込もうとする我々東洋人なのかも知れません。

<マウスピースとリードについて>
 

Q2-1 マウスピースとリードはフランス管とどう違うの?
左フランス管 vs 右ドイツ管用
A: ドイツ管のマウスピースにも楽器同様ドイツタイプとウィーンタイプがあり、厳密にはそれぞれにエーラー用とリフォームド・ベーム用があります。何れのマウスピースもフランス管のもの(左)に比べ一見して細身で尖った印象です。また、本体中央部に刻まれたヒモを巻くための(というか、巻いたヒモがずり上がってこないようにするための)溝が識別ポイントです(写真右)。

ドイツタイプとウィーンタイプのマウスピースは先端の開きやフェイシングの長さがかなり違うので、各々専用のリードを使用します。ドイツタイプのリードよりウィーンタイプの方が僅かに幅広ですが、それでも通常のフランス管用よりはやや狭く短いので、ベームより多少音量が落ちるのでしょう。
なお、多分あなたが使い慣れてきたヴァンドレンの5RVライヤーやB40などは、ドイツ管のタルにはゆるゆるで合いません。ドイツ管をフランス管の仕掛けで吹きたいときは、ティッシュかセロテープを一巻きして下さい。
 
 Q2-2 マウスピースはどこのが良いの?
A: ドイツ・タイプのマウスピースは、ブランドの如何に拘わらず、ベースはほとんど独ツィンナー(Zinner)社が供給しているようです。ツィンナーやヴリツァーからも多数のモデルが出ていますが、ホルツではツィンナーをベースにヴィオット(Viotto)という謎の数学者?が開発したモデルが人気です。L−5(エルゴ)、SM(エスエム)、P+4(ペー・プラス・フォー)、N1(エヌ・アインス)、G3(ゲー・ドライ)、BF(ベー・エフ)などですが、カール・ライスターは現在、L−5ではなく、ツェレツケ特製のヴリツァーのマッピにヴァンドレンのV12やルピック56を付けて吹いているそうです。SMはザビーネ・マイヤーの略です(念の為)。あるベルリンの楽器屋さんは、『ザビーネ以外にSMを使っているプロなんか居ないよ』だって。男のプライドが許さないからでしょうか?

Gmは音質の上品さが気に入ってP+4を長く吹いていました。過日ベルリン国立歌劇場のメンバーがホルツの練習に遊びに来た折に確認したところ、全員がP+4だったので大いに気を強くした次第です。P+4はドイツ版5RVライヤーと言ったところでしょうか。その後、もう少し音量が欲しくなりN1に、さらに各音域の音色の繋がりがよいG3に替えて現在まで愛用しています。
 
Q2-3 ドイツ管用リードのメーカーは?
A: 比較的手に入りやすいのはヴァンドレンでしょう。ホワイトマスターはドイツタイプ用、ブラックマスターはウィーンタイプ用です。米リコ(Rico)社からも結構良いドイツタイプのリードが国内発売されていますが、どちらもめったに売れないので常時置いている店は少ないかも知れません。

シュトイヤー(Steuer)は歴史の長いドイツのメーカーで、ドイツタイプ用にS−100、800、900など5種類のカットが売り出されています。 価格が高いのと品質が不安定なのがちょっと不満ですが、密度ある落ち着いた響きを持っています。インターネットでも入手できますが、大久保にある石森管楽器さんに頼めば郵送してくれます。

私は長い間、先端が厚めで馬の背(ハート)部分が長めのシュトイヤーのS−800というモデルを愛用していましたが、何時の間にかショルダー部分がカットされなくなり、最近ではハート部分も目立って少なくなってしまいました。
フォリエッタ、BK(ベノ・クルーガー)、ヴィルシャー、PL(ペーター・ロイトナー)なども良いリードですが、現在私は、ウィーン系のマウスピース(ヘアマン・バーン)に合わせて、シュトイヤーのウィーンタイプであるアドヴァンテージというモデルを使っています。

※【ご注意】近年(2020)、ドイツのマウスピースとリードを取り巻く環境が大きく変化しています。ヴィオットさんやヴィルシャーさんは急逝され、Zinnerやシュトイヤーも廃業や買収に追い込まれています。Gmも現在、リードはArundosのTosca.br.を使用しています。
ドイツリード大研究
 
<ヒモとリガチャーについて>


Q3-1 なぜリードをヒモで巻くんですか?
A: ドイツ管というと全てリードをヒモ(Schnur:シュヌーア)でマウスピースに固定すると思われがちですが、それはドイツタイプのことで、ウィーンタイプは金属のリガチャーで固定します。ドイツタイプの音の鋭さを緩和し、ウィーンタイプの音のソフトさに芯を出すためにそうなったのでは?と聞いたことがあります。確かにヒモを使うと少し音量は落ちますが、各音域の音にムラが無くなり、フォルテッシモで吹いても音のピークが遠のくような気がします。
また、最低音域が軽くなるなど全体としてリードが0.5近く薄くなるように感じるので、「このリード、音は良いんだけどちょっとキツイなー」というときの救世主でもあります。
しかしながら、何と言ってもリードを替えるのが面倒なのと、マウスピースを握ってB♭管とA管を持ち替える時などリードがずれてしまいがちなので、最近ではドイツの奏者でもBGやGF製のソフトリガチャーを使う人が増えています。それに伴い、かつてはヒモがずり上がらないようにマウスピースの溝の上に付いていた土手?のようなフランジが、リガチャーをはめる時に邪魔になるので、最近は姿を消しつつあります。Gmは、普段の練習ではソフトリガチャーを使用していますが、ここ一番という本番では必ずヒモ(ユザワヤで買った革ひも)を使用します。
 
Q3-2 ヒモの巻き方は?
A: ヒモは慣れれば誰でも30秒以内で巻けるようになりますが、巻き方は人によって右巻き派、左巻き派に始まり千差万別で、決定版は無いようです。最も異なるのは巻き始めの位置で、リードの横から、上から、裏側からと百家争鳴状態。私はしばらく「リード上から左巻き派」でしたが、過日あるドイツ奏者に「リード裏から右巻き派」に転向させられました。
ですが、SM女王にしろヴェンツェル・フックスにしろ、ヒモの巻き方はズサンというか無頓着というか…弘法は筆を選ばずということなのでしょうか。

ヒモの巻き方

ヴリツァー純正?のヒモは1m余りで500円もしますが、ヒモなら凧糸でも靴ヒモでも何でも良いし、素材によって音も多少変わる(ような気がする)ので、一度は凝ってみるのも良いでしょう。

 (Last Revised 2011.05.12 by Gm)